2015年に読んだ本
一昨日に続き昨年ネタw
2015年に読んだ本は、総計92冊。
2014年が90冊だったから、まぁこれくらいが現状の生活パターンでの定数なのだろう。
92冊のリストはエントリ末尾に掲載するので、ご参照いただくこととして、自分の中でのベスト3を紹介させていただく。
今年のベスト1は文句なしにこれ、李龍徳の「死にたくなったら電話して」
過去に感想エントリを上げてたので、無精して引用のみ。
昨年の第51回文藝賞受賞作!。
上記 Amazon のリンク先で選考委員の御歴々が絶賛しているとおり、大した新人であり、また極めて強い毒をもつ小説であるものの、紛れもない傑作だと思う。
主人公・徳山は3浪の冴えない受験生、彼の目をとおして描かれるが、物語の中心はヒロインの初美。
初美はエキセントリックではあるものの、とても魅力的な少女である。
しかしながら徳山を破滅へと誘う悪意?は、ある意味とても痛快だ。(以下、ややネタバレあり、注意)
せっかく合格した大学を断念せざるを得なくしたのも、恐らくは初美の仕業だろうし、徳山の外の世界との最後の繋がりであった、バイト先の先輩からの徳山を気遣うメールに対し、初美が悪意溢れる内容で代筆・返信し、容赦なく切り捨てる。
そして最後、徳山の最後の希望であった初美との結婚を、とある理由によりいとも簡単に打ち砕き、これで一丁上がり。
結末は明確に示されないものの、主人公・徳山としての展開は更には何も望めない以上、これでいいのだろう。
独特の耽美的な世界観で読者を圧倒する作品。
万人にオススメできるものではないが、小説好きには是非一読をオススメしたい小説である。
★★★★★
- 作者: 朝井まかて
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/10/15
- メディア: 文庫
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ベスト2は第150回(2013年下半期)直木賞受賞作、朝井まかての「恋歌」。
女性作家でこの題名だと、甘い小説を想像されがちだが、樋口一葉の師・中島歌子の水戸幕末争乱(天狗党の乱) に翻弄される過酷な運命を書き上げた骨太の小説である。
昨年新たに巡り会えた中で、イチバンの作家。 今後もフォローしていきたい。
ベスト3は悩んだ末に、辻村深月の「ハケンアニメ!」にした。
下に引用した過去エントリーのとおり、読後直ぐはあまり好印象ではなかったのだが、実はその後2回程再読、かなりハマってしまった。
この小説......というか、この作家の面白さは「人物造形の上手さ」に尽きると思う。
本作、全ての登場人物が悔しいくらい素敵だと言わざるをえない(50半ばにもなって小並感しか書けなくて申し訳ない)。
ただ惜しむらくはCLAMPの表紙.....オッサンが手に取るにはややこっ恥ずかしい.....若しくはせっかく連載時は毎回CLAMPの挿絵があったようなので、作中にふんだんに挿絵を使って欲しかった(何言ってんだこいつ)
アニメ業界のプロデューサー、監督、アニメーターの3人を主人公にした、これまたお仕事小説。
400ページ超を一気読みさせる面白さはあるが、ラノベ的な軽さとあざとさがやや鼻につくのはやや残念。
ただここ数年、着実に上手くなっている作家のひとりであることは間違いなく、その成長の過程のひとつのチャレンジだと思えば、失敗作ではないと思う。
あと、明らかにブラックな勤務形態を、それがさも美しいもののように描いているのは、ちょっと引いてしまうし、ブラック企業がこれだけ叩かれる時代に、殆どの読者がレビュー等で肯定的に捉えている実態は、なんか不思議な気がする(笑)
★★★★☆
ところで下記リストの92冊、全て図書館で借りて読んだものだ......因みに実際購入すると合計147,888円。
市町村税いくら払っているか余り意識していないが、行政サービスでかなり還元してもらた感じである。
出版社を儲けさせる気は更々ないので、あまり気にはしていないが、いい作品を書いている作家さんは応援してあげたいので、印税相当額を寄付できるシステムがあればいいのに......とはかねがねおもっている (´・ω・`)
タイトル | 著者 | 評価 |
聖なる怠け者の冒険 | 森見 登美彦 | ★★★ |
離陸 | 絲山 秋子 | ★★★★★ |
竜の涙 ばんざい屋の夜 | 柴田 よしき | ★★★★ |
ゆずこの形見 | 伊藤 たかみ | ★★★ |
ふたたびの虹―推理小説 | 柴田 よしき | ★★★ |
おもかげ橋 | 葉室 麟 | ★★★ |
憤死 | 綿矢 りさ | ★★★ |
神様のケーキを頬ばるまで | 彩瀬 まる | ★★★★★ |
笹の舟で海をわたる | 角田 光代 | ★★★★ |
まるまるの毬 | 西條 奈加 | ★★★★ |
寄る年波には平泳ぎ (単行本) | 群 よう子 | ★★ |
穴 | 小山田 浩子 | ★★★★ |
明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち | 山田 詠美 | ★★★ |
月の魔法 | 川上 健一 | ★★★ |
死にたくなったら電話して | 李龍徳 | ★★★★★ |
結婚 | 橋本 治 | ★★★ |
私のなかの彼女 | 角田 光代 | ★★★★★ |
さわらびの譜 (単行本) | 葉室 麟 | ★★★★ |
ハケンアニメ! | 辻村 深月 | ★★★★★ |
ニッチを探して | 島田 雅彦 | ★★★ |
ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石 | 伊集院 静 | ★★★★★ |
あのひとは蜘蛛を潰せない | 彩瀬 まる | ★★★★ |
店長がいっぱい | 山本 幸久 | ★★★★ |
しょっぱい夕陽 | 神田 茜 | ★★★★ |
ごはんぐるり | 西 加奈子 | ★★★ |
奇跡の人 The Miracle Worker | 原田 マハ | ★★★ |
残りの人生で、今日がいちばん若い日 | 盛田隆二 | ★★★★ |
敗者たちの季節 | あさの あつこ | ★★★ |
放蕩記 | 村山 由佳 | ★★★★ |
ポケットに物語を入れて | 角田 光代 | ★★★ |
そして、星の輝く夜がくる | 真山 仁 | ★★★★★ |
ふたつのしるし | 宮下 奈都 | ★★★★ |
きょうのできごと、十年後 | 柴崎 友香 | ★★★ |
窓の向こうのガーシュウィン | 宮下 奈都 | ★★★★ |
彼が通る不思議なコースを私も | 白石 一文 | ★★★ |
超訳 日本国憲法 (新潮新書) | 池上 彰 | ★★ |
星か獣になる季節 | 最果 タヒ | ★★★★★ |
あなたは、誰かの大切な人 | 原田 マハ | ★★★★ |
東京自叙伝 | 奥泉 光 | ★★ |
私の男 | 桜庭 一樹 | ★★★★ |
かわうそ お江戸恋語り。 | あさのあつこ | ★★★★ |
桜の下で待っている | 彩瀬 まる | ★★★ |
願いながら、祈りながら | 乾 ルカ | ★★★★★ |
トオリヌケ キンシ | 加納 朋子 | ★★★★★ |
知の孤島 | 小前 亮 | ★★★★ |
風のベーコンサンド 高原カフェ日誌 | 柴田 よしき | ★★★★ |
死んでたまるか | 伊東 潤 | ★★★ |
モノクローム | 乾 ルカ | ★★★★ |
優雅なのかどうか、わからない | 松家 仁之 | ★★★★ |
アップルソング | 小手鞠るい | ★★★★★ |
Red | 島本 理生 | ★★★ |
左目に映る星 | 奥田 亜希子 | ★★★★ |
あと少し、もう少し | 瀬尾 まいこ | ★★★★ |
悪い恋人 | 井上荒野 | ★★★★★ |
山桜記 | 葉室 麟 | ★★★★★ |
コンとアンジ | 井鯉 こま | ★★★ |
メグル | 乾 ルカ | ★★★★ |
善と悪 江夏豊ラストメッセージ | 江夏 豊 | ★★★★ |
雪の断章 | 佐々木 丸美 | ★★★★★ |
恋歌 | 朝井 まかて | ★★★★★ |
パノララ | 柴崎 友香 | ★★★★ |
喝采 | 藤田 宜永 | ★★★★ |
風 | 青山 七恵 | ★★ |
モダン | 原田 マハ | ★★★★ |
家族シアター | 辻村 深月 | ★★★★ |
ヤモリ、カエル、シジミチョウ | 江國 香織 | ★★★★★ |
骨を彩る | 彩瀬 まる | ★★★★ |
花競べ 向嶋なずな屋繁盛記 | 朝井 まかて | ★★★★ |
ホテルローヤル | 桜木 紫乃 | ★★★ |
持たざる者 | 金原 ひとみ | ★★★★ |
御松茸騒動 | 朝井 まかて | ★★★★ |
睦月童 | 西條 奈加 | ★★★ |
水声 | 川上 弘美 | ★★★★★ |
三人屋 | 原田 ひ香 | ★★★ |
ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス | 滝口 悠生 | ★★ |
朝顔の日 | 高橋 弘希 | ★★★★★ |
ほんとうの花を見せにきた | 桜庭 一樹 | ★★★★★ |
帝国の女 | 宮木 あや子 | ★★★★ |
恋形見 | 山口 恵以子 | ★★★★ |
ニュータウンは黄昏れて | 垣谷 美雨 | ★★★★ |
ミツハの一族 | 乾 ルカ | ★★★★ |
野良女 | 宮木 あや子 | ★★★ |
夢の燈影 | 小松 エメル | ★★★★ |
愛なんて嘘 | 白石 一文 | ★★★★ |
六花落々 | 西條奈加 | ★★★ |
ごんたくれ | 西條 奈加 | ★★★★ |
雨の狩人 | 大沢 在昌 | ★★★★ |
喉の奥なら傷ついてもばれない | 宮木 あや子 | ★★★ |
絶叫 | 葉真中 顕 | ★★★★ |
透明人間は204号室の夢を見る | 奥田 亜希子 | ★★★★ |
ありふれた愛じゃない | 村山 由佳 | ★★★★ |
GOSICK BLUE | 桜庭 一樹 | ★★★★ |