【読書記録】死んでいない者(滝口悠生)

死んでいない者

死んでいない者

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第154回芥川賞受賞作......前にご紹介した「異類婚姻譚」と同時受賞した作品である。
tamu2822.hatenablog.com

通夜に集まる親戚たちの一夜を書き綴った、チャレンジングで興味深い作品だが、はっきり言って面白くない(笑)

まず登場人物が多い割にキャラが全く立っていないため、最後まで誰が誰だかよくわからない。

ネットのレビューなどを見てみると、多くの方が読みながら家系図を作ったようで、私も途中同じことを考えた。

しかしながら、それによってこの小説をより深く味わえるような気も全くしなかったので、それはやめた。

もしかしたら映画で映像を通して作品を観たのなら、面白いものになったのかもしれないが、テクストからだけでは私には何も感じ取ることができなかった。

そもそも芥川賞は、このようなあまり一般受けしないチャレンジングな小説を受賞させることが、ままある。

大衆受けしなくても芸術性さえ高ければそれが純文学だと言うのなら、そんな代物を芥川賞の名前で大衆に売りつけてしまう......という構図はちょっと違和感がある。

「もしそれが大衆受けする性格のものでなく商業的に成り立たないものであっても、それが芸術的に価値のあるものであるなら、それはパトロン(≒スポンサー)が支えるべきである」というのが私の予てよりの持論であるが、ニッポンの出版業界は、それが最も成り立っていない芸術分野なのだろう。

ま、この小説に芸術的価値があるとは、全く思わないのだが(笑)