【読書記録】異類婚姻譚(本谷有希子)

異類婚姻譚

異類婚姻譚

キンドル版 ⇒ 異類婚姻譚

芥川賞受賞作であるこの小説(表題作)の素晴らしさを、ネタバレなしに表現するのは難しそうだが、なんとか頑張ってみる。

異類婚姻譚(いるいこんいんたん)とは、人間と違った種類の存在と人間とが結婚する説話の総称。

異類婚姻譚 - Wikipedia

とのことだが、本作は「夫婦は一緒に暮らしているとだんだん似てくる」という話から始まるので、最初は少し違和感を覚える。

しかし粗相の治らない猫を山に捨てに行くのを手伝うエピソードなどを含め、徐々に独特の不気味さ・不穏さが増していき、やがて「異類婚姻」の意味も判明。

その不気味さ・不穏さがピークを迎える時点で、驚愕の......というかある意味ぶっ飛んだエンディングを迎えるのだが、この最後の2ページの日本語の美しさと小説としての完成度には、ただただ感服するばかりである。

最後「ホント良かったね」......って、つい安堵してしまうのだが、冷静に考えると「をぃ、安堵して良いのか?w」と我に返ってしまう、そんな小説的面白さに溢れた作品だ。


まだ36歳と若い割に多彩な経歴を拝見すると、マルチな才能に溢れる反面、少々飽きっぽいところがあるのかも......と思わせるところもあるが、ぜひ末永く面白い小説を書き続けて欲しいと願う。