【読書記録】異類婚姻譚(本谷有希子)
- 作者: 本谷有希子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/01/21
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (8件) を見る
芥川賞受賞作であるこの小説(表題作)の素晴らしさを、ネタバレなしに表現するのは難しそうだが、なんとか頑張ってみる。
異類婚姻譚(いるいこんいんたん)とは、人間と違った種類の存在と人間とが結婚する説話の総称。
異類婚姻譚 - Wikipedia
とのことだが、本作は「夫婦は一緒に暮らしているとだんだん似てくる」という話から始まるので、最初は少し違和感を覚える。
しかし粗相の治らない猫を山に捨てに行くのを手伝うエピソードなどを含め、徐々に独特の不気味さ・不穏さが増していき、やがて「異類婚姻」の意味も判明。
その不気味さ・不穏さがピークを迎える時点で、驚愕の......というかある意味ぶっ飛んだエンディングを迎えるのだが、この最後の2ページの日本語の美しさと小説としての完成度には、ただただ感服するばかりである。
最後「ホント良かったね」......って、つい安堵してしまうのだが、冷静に考えると「をぃ、安堵して良いのか?w」と我に返ってしまう、そんな小説的面白さに溢れた作品だ。
まだ36歳と若い割に多彩な経歴を拝見すると、マルチな才能に溢れる反面、少々飽きっぽいところがあるのかも......と思わせるところもあるが、ぜひ末永く面白い小説を書き続けて欲しいと願う。