【読書記録】可愛い世の中(山崎ナオコーラ)

面白かったり興味深かったりする小説に関してブログを書くのは、とても楽しい作業だ。

その反面、そうではない小説について書くのは、とても気が重たい。

ならば書かなければ良い......というのが常識的な考え方なのだろうが、今年は「100冊読んで全てブログに読書記録を残す」というノルマを自分に課してしまっているので、そこは致し方ない。

そもそもこのブログで「本を読んで思ったこと」を記事にするにあたって、素人がプロの作品に対して「評価」するなんて、非常におこがましいのではないか?という思いがいつもある。

そこら辺りの躊躇が、この一連の記事が「書評」でも「感想」でもなく「読書記録」という「逃げ」の表現になっている所以でもある。

とはいえ実際は結構好き勝手なことを書き綴っている自覚はあるのだが、それでも期待している作家が迷走しているのを見るのは結構辛いものがある。

可愛い世の中

可愛い世の中

山﨑ナオコーラのこの作品も、そんな思いにさせられてしまう一冊だ。

「ここ最近の迷走」と言えるほど全ての新作を読んでいる訳ではないが、「昼田とハッコウ」「太陽がもったいない」「ボーイミーツガールの極端なもの」に続けてこれを読んだ上での感想。

「ぶす」で面倒くさい「私」と、稼ぎは悪いけど人の良い婚約者(夫)......その関係性に於いて、作者の実生活ををも連想させとともに、近著に(直接的でなくとも)共通したワールドがある。

一言でいえば「確信犯的な面倒くささをカッコいいと思っちゃってる面倒くささ」が辛い.....というか、なかり食傷気味である。

また(本作から見て)前作の「ボーイミーツガールの極端なもの」と共通したキーワードとして「多様性」があるのだが、「多様性」の本質的な意味を明らかに履違えている。

ここまでくると「編集」の責任も重いと思うのだが、それなりにファンがいる現状を踏まえると、編集者たちはこれを是としているのだろうか?

彼女が今後大きな賞を取ったり、作家として大成していくためには、もうひと皮ふた皮剥けなければと思うのだが.......