【読書記録】曽呂利!秀吉を手玉に取った男(谷津矢車)

曽呂利!

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豊臣秀吉のお伽衆にして、多くの有名な頓知話を残した曽呂利新左衛門を中心とした、秀吉をめぐる「獅子身中の虫」達の奇想天外な歴史小説

設定は奇想天外だが、様々なな史実をつなぎ合わせながら展開するので、ストーリーとしての破綻はない。

そして、そのアイディアは秀逸であり、またそれぞれの人物造形も優れているため、とても面白く読み進めることができる。

唯一惜しむらくは、終盤のタネ明かしである「何故?」の部分の設定が甘く、結果として曽呂利の人物像が、最後の最後でボヤけてしまうところか。

作者の谷津矢車は、歴史小説分野での若手として、秀でたストーリーテラーであることは事実だろう。(1986年生れ)

今後も注目していきたい作家の一人である。