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【読書記録】ティーンズ・エッジ・ロックンロール(熊谷達也)

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  Kindle版 ⇒ ティーンズ・エッジ・ロックンロール

2010年、宮城県仙河海市。軽音楽部の扉を叩いた高校生・匠は運命の少女・遥と出会った。彼女の存在に刺激され、匠は一つの目標を見つける。“この町に初めてのライブハウスをつくろう”―。地元の縁を巻き込みながら少年たちは成長する。そして、3月11日。愛する故郷、大好きな音楽、憧れの恋、訪れるあの“波”―。ヒリつくほどに懐かしい全て。東北在住の直木賞作家が描く魂の青春小説。

熊谷達也に関しては、氏の代表作であり直木賞受賞作の「邂逅の森」以外には、一昨年たまさか手にとった「調律師」くらしか読んだことがなくて、こんなストレートな青春小説をも書く作家とは知らなかった。

実際、青春小説としてはツボを押さえたそれなりの熱量を持った作品で、要所で泣かせる場面もあったりで、睡眠時間削って一気読みしてしまった。

自分の中で一旦はかなりの高評価だったので、もう一度通読してみたのだが、一点だけ気になるところが出てきてしまった。

それはヒロインのキャラに、色々と詰め込み過ぎて、一見カッコいいのかもしれないが、リアル感に乏しく、結果として人間としての魅力をスポイルしてしまっていると感じられた点。

亡くなった兄にブラコン拗らせた、軽音部部長にして、助っ人専門のローカルでは有名なマルチプレイヤーで、夏休みのバイト先の牧場では牛の扱いに長けた、クールビューティな不思議ちゃん......って、いったい何やねんヽ(・∀・)ノ......という感じ(笑)

あと、エンディングに3・11を持ってきている点については賛否両論かあるようだが、実際に現地で被災した作者が、一定の期間を経て書く決意をしたのだから、一介の読者がとやかく言うことではないだろう。

ただ、青春小説というジャンルにおける小説としての様式を考えると、その試みはあまり成功しているとは言い難い。

いずれにしてもあの震災は、文学という枠で表現するには、未だとても難しい素材なのてあろう。

個人的には青春小説は、多少荒唐無稽でも、若さにしか持ち得ない熱量がほとばしる、ストレートな作品が好きだ。

そういう意味で、わたしの中での青春小説のベストは、随分長きにわたってこの作品である。

ららのいた夏 (集英社文庫)

ららのいた夏 (集英社文庫)

あと、震災を扱った小説で、私が読んだ中で最も好きなのはこちらの作品。

いずれもオススメである。