今年読んだ本

今年は年頭に「100冊読むぞぉ♪」と密かに誓ったのだが、結果94冊w
途中で100冊キツイなぁ.....と思ったときにペースアップしようかとも思ったのだが、仕事がやや逼迫していたのと、雑な読み方になるのが嫌だったので、自然体で読むことにした。
その中で特に面白かったのを小説から3冊、その他ノンフィクション、ビジネス書、新書から一冊づつ紹介する。(レビューは読了時のもので、いま違う感想をもっているものもあるが、面倒くさいのでそのままw)

小説

森見登美彦氏の作品は初めてですが、とても良質の小説でした。
爽やかな感動と、何よりも「オヂサンも頑張らなくっちゃヽ(・∀・)ノ」っていう勇気をもらいました。
ありがとうございました♪
(ここ2冊続けて5つ星......なんかラッキーしちゃった気分ですwww)

少しインモラルで素敵で愛すべき気狂いたちのいつもの江國ワールドを、今回は少し抑制的かつシニカルに、そして雄大に書き上げた、たぶん彼女の代表作のひとつとなるだろう秀作。
594ページとややボリュームはあるが、今まで江國嫌いだった人にも是非オススメしたい!

金原 ひとみ
新潮社
発売日:2011-07

金原ひとみはデビュー作かつ芥川賞受賞作の『蛇にピアス』を、受賞時の文芸春秋で読んで以来なので7年ぶり。
当時は、人によってはグロテスクに感じるかもしれない世界を、あんまり上手くない文章で書いてる割には、チョッと光るもにはあるかな.....でも長続きはしないだろうなぁ....ぐらいの感想だった。
.....で、今回ははっきり言って「傑作」である。
「人によってはグロテスクに感じて嫌悪感を持つだろうなぁ…」ってのはあい変わらずだし、「あんまり上手くない文章」ってのは、私はだいぶ上手くなったと思うが、そう思わない人も多いようだ。
しかしこの小説には明らかに人を引きずり込む迫力があり、そしてそれは小説家として成長した彼女の力量なのだろう。
出産、育児がテーマの割りに、主要登場人物がヤク中の小説家とか、不倫の子を身籠るモデルとか、幼児虐待の専業主婦とかのやや極端な人々であったり、その彼女達がこれでもかと思うくらい救いようのない状況に陥ったりで、万人が楽しめる内容ではない。
重ねて、そもそもボリュームがある上に、比較的改行のが少ない文体が、軟弱な読者を遠ざけているのは否めない。
それでもやはりこれは紛れもない「傑作」であり、8年前のデビュー時に比べ格段に成長した若手作家を、素直に称えたいと思う。
まぁ子育てなんか殆ど終わってしまった50過ぎのオッサンが読んでも、今更なんの役にも立たないのだが、20年近い昔の嫁さんに「無神経でした、ごめんなさい」と言っておこう....心の中で。

ノンフィクション

ノンフィクション作家による、主に漁師としての我が家のルーツ探し。
外房、五反田、和歌山.....たまたま、いずれも私にとって極めて馴染みのある土地が舞台になっていることもあり、非常に面白く読むことができた。
ただ極めて残念なのが、和歌山県広川町でのエピソード.....その町で1軒しか無い姓の家を訪ね、そこの嫁を思いっ切りdisってる箇所。
その場における著者の気持ちは十分に共感できるのだが、さすがにこれは、狭い田舎町で簡単に個人が特定されちゃうし、曲がりなりにもマスコミに身を置くものとしては反則技なんぢゃないかなぁ......
まぁ、天下の文藝春秋の編集者が「ヨシ」としたのだろうから、ギリギリセーフなのかもしれないが、私としては釈然としないものが残る。
それさえなければ★5つだったんだけどなぁ.....(´・ω・`)

ビジネス書

学者がその専門分野で書く本は、当たり前だけど凄みがある。
超◯◯シリーズでオチャラケてるのとは訳がちがうw
70年代から現在までの(主に金融)経済の歴史がこのこの本のテーマだ。
以下、印象的な箇所をいくつか.....
証券化は個別リスクには機能するが市場リスクに対しては機能しない(P180)
ウィンブルドン減少は、イギリス経済を活性化させた(P228)
・90年代における「「英語不適応大国の凋落」は、必然の減少であった(P252)
・中国の工業化によって、中国と同じことをやている国が没落し、中国では出来ないことに転換した国が成長した(P257)
今後の提言については、金融が専門の学者さんなので、やや金融に偏った主義主張がなくもないが、一読の価値はあると思う。

新書

アロウの不可能性定理からハイゼンベルク不確定性原理、さらにゲーデル不完全性定理などの理論学を、ディベート形式で易しく書き表した、新書にしては珍しいロングセラー。
非常に知的好奇心を掻き立てられたが、読み進むうちに段々頭がついていけなくなったのは、私の頭が悪いだけです......ゴメンナサイ (´・ω・`)
教養としてやはりこれくらい理解しとかなきゃ.....と思うので、しばらくしたら再読の予定ヽ(・∀・)ノ

今年読んだ94冊

社畜のススメ (新潮新書) 藤本 篤志 (2011-11)
1973年のピンボール (講談社文庫) 村上 春樹 (2004-11-16)
木暮荘物語 三浦 しをん (2010-10-29)
ニキの屈辱 山崎 ナオコーラ (2011-08-05)
風の歌を聴け (講談社文庫) 村上 春樹 (2004-09-15)
漁港の肉子ちゃん 西 加奈子 (2011-09)
マザーズ 金原 ひとみ (2011-07)
紫式部の欲望 酒井 順子 (2011-04-26)
源平合戦の虚像を剥ぐ (講談社選書メチエ) 川合 康 (1996-04-10)
これはペンです 円城 塔 (2011-09-30)
純平、考え直せ 奥田 英朗 (2011-01-20)
私のいない高校 青木 淳悟 (2011-06-14)
気違い部落周游紀行 (冨山房百科文庫 31) きだ みのる (1981-01-30)
転がる香港に苔は生えない 星野 博美 (2000-04)
東京ロンダリング 原田 ひ香 (2011-07-26)
昼寝の神様 松尾 佑一 (2011-07-26)
パッサジオ (文春文庫) 辻 仁成 (1998-11)
コンニャク屋漂流記 星野 博美 (2011-07-20)
長い終わりが始まる 山崎 ナオコーラ (2008-06-26)
僕は、そして僕たちはどう生きるか 梨木 香歩 (2011-04)
パスタマシーンの幽霊 川上 弘美 (2010-04-22)
努力しないで作家になる方法 鯨統一郎 (2011-06-18)
太陽の坐る場所 辻村 深月 (2008-12)
エグゼクティブ・プロテクション 渡辺 容子 (2011-06-08)
飲食男女(おんじきなんにょ)―おいしい女たち 久世 光彦 (2003-04)
檀流クッキング (中公文庫BIBLIO) 檀 一雄 (2002-09)
ワーカーズ・ダイジェスト 津村 記久子 (2011-03-25)
この女 森 絵都 (2011-05-11)
ぼくから遠く離れて 辻 仁成 (2011-02)
円卓 西 加奈子 (2011-03-05)
人間小唄 (100周年書き下ろし) 町田 康 (2010-10-19)
春、バーニーズで 吉田 修一 (2004-11-20)
刻まれない明日 三崎 亜記 (2009-07-10)
無花果の森 小池 真理子 (2011-06-02)
長崎乱楽坂 吉田 修一 (2004-05-25)
いねむり先生 伊集院 静 (2011-04-05)
ニッポンの書評 (光文社新書) 豊崎 由美 (2011-04-15)
うから はらから 阿川 佐和子 (2011-02)
大人の発達障害―アスペルガー症候群、AD/HD、自閉症が楽になる本 備瀬 哲弘 (2009-03-14)
勝海舟福沢諭吉―維新を生きた二人の幕臣 安藤 優一郎 (2011-04-16)
祝福 長嶋 有 (2010-12-11)
真綿荘の住人たち 島本 理生 (2010-02)
コロヨシ!! 三崎 亜記 (2010-02-27)
海に沈んだ町 三崎 亜記,白石 ちえこ (2011-01)
学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書) 福澤 諭吉 (2009-02-09)
原稿零枚日記 小川 洋子 (2010-08-05)
パリが愛した娼婦 鹿島 茂 (2011-01-25)
GA・SHIN! 我・神 花村 萬月 (2010-03-26)
夏から夏へ 佐藤 多佳子 (2008-07-25)
海猫ツリーハウス 木村 友祐 (2010-02-05)
サウスポー魂 川上 健一 (2011-03-08)
恋文の技術 森見 登美彦 (2009-03-05)
勝手にふるえてろ 綿矢 りさ (2010-08-27)
ぼくは落ち着きがない 長嶋 有 (2008-06-20)
ほかならぬ人へ 白石 一文 (2009-10-27)
寝ても覚めても 柴崎 友香 (2010-09-17)
風景 瀬戸内 寂聴 (2011-01-25)
あられもない祈り 島本 理生 (2010-05-13)
経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか 野口 悠紀雄 (2010-04-09)
わたしの彼氏 青山 七恵 (2011-03-11)
神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫) 村上 春樹 (2002-02)
窓の魚 西 加奈子 (2008-06)
小説一途 ふたりの「源氏物語」 瀬戸内 寂聴,田辺 聖子 (2010-03-24)
野宿入門 かとうちあき (2010-09-23)
末裔 絲山 秋子 (2011-02-16)
幕末維新に学ぶ現在 山内 昌之 (2010-04)
リア家の人々 橋本 治 (2010-07)
悪の会計学 (双葉新書) 大村 大次郎 (2011-02-16)
ペンギン・ハイウェイ 森見 登美彦 (2010-05-29)
抱擁、あるいはライスには塩を 江國 香織 (2010-11-05)
ミート・ザ・ビート 羽田 圭介 (2010-02-06)
佐賀県の歴史 (県史) 杉谷 昭,宮島 敬一,佐田 茂,神山 恒雄 (1998-04)
迷える者の禅修行―ドイツ人住職が見た日本仏教 (新潮新書) ネルケ 無方 (2011-01)
散る。アウト 盛田 隆二 (2004-10)
ここに消えない会話がある 山崎 ナオコーラ (2009-07-24)
ありふれた魔法 盛田 隆二 (2006-09-21)
学問 山田 詠美 (2009-06-30)
白いしるし 西 加奈子 (2010-12)
二人静 盛田 隆二 (2010-09-17)
理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書) 高橋 昌一郎 (2008-06-17)
もう二度と食べたくないあまいもの 井上荒野 (2010-04-10)
炎上する君 西 加奈子 (2010-04-29)
「事務ミス」をナメるな! (光文社新書) 中田亨 (2011-01-18)
零戦 アメリカ人はどう見たか 辻 俊彦 (2007-05-30)
ただマイヨ・ジョーヌのためでなく ランス・アームストロング (2000-08-25)
もしも、私があなただったら 白石 一文 (2006-04-20)
スイートリトルライズ 江國 香織 (2004-03)
遊牧夫婦 近藤 雄生 (2010-07-12)
砂の上のあなた 白石 一文 (2010-09)
龍馬の黒幕 明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン (祥伝社文庫) 加治 将一 (2009-06-12)
氷川清話 (講談社学術文庫) 勝 海舟 (2000-12-08)
逃亡くそたわけ 絲山 秋子 (2005-02-26)
デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21) 藻谷 浩介 (2010-06-10)
7 days in BALI 田口 ランディ (2002-09)


来年は、冊数減らしてでも、幅広くそして読みづらいものも挑戦していきたいと思う。